日本・中国・ロシアは、互いに緊張が走る「地政学的トライアングル」をつくっている。そこにアメリカが深く入り込むことで、東アジアの安全保障はさらに複雑な層をまとい始める。
日本はアメリカの同盟国だが、中国やロシアとの関係を切り離して考えることもできない。どこか一国に寄りかかるだけでは国家戦略が成立しない状況が続いていて、日本には“自律した外交”が求められている。
戦後の国際秩序には、ひとつの原則がある。領土は歴史ではなく、条約で決まるという考え方だ。歴史は揺れ動き、国家が都合よく使える。だからこそ、戦争の口実になりやすい。こうした背景があるから、今日では「力による一方的な現状変更は許さない」という原則が、国際社会の共通認識として重みを増している。
北方四島を考えるときも、この視点は避けて通れない。ロシアと中国はどちらも歴史や地政学を外交に使うが、その“使い方”は違う。中国は歴史的物語を重視し、ロシアは安全保障上の緩衝地帯や勢力圏を重視する。良し悪しではなく、行動原理が異なるという事実を押さえておく必要がある。
日本は海洋国家だ。資源の大半を海上輸送に依存している以上、シーレーンの安定は生命線になる。海洋秩序の維持は、安全保障そのものと言っていい。海洋国家とランドパワー国家では戦略文化が根本から違い、この差が北方四島問題の難しさにもつながっている。
北方四島は、戦後の正式な国際合意で帰属が確定していない“未確定領域”として残されている。ヤルタ協定は秘密協定で法的根拠にならず、サンフランシスコ条約も帰属を明記していない。この“空白”は、日本外交にとって小さくない意味を持つ。
歴史を振り返れば、択捉や国後では日本人・ロシア人・アイヌが共存した時期もあった。いまも、漁業や観光、サハリンとの経済連携、環境保全、災害救助、医療協力など、政治的対立を超えて協力できる領域は多い。
北方領土問題は、最初に動くテーマではない。むしろ、最後に動くテーマだ。だからこそ、どこから積み上げれば現実的に前進し得るのか──その“順番”の設計が外交戦略の核心になる。
領土の線引きを変えるのではなく、関係の構造を変えていく。そのための段階的な積み上げが、日本外交に求められている視点だと考えている。
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北方四島は、日本外交再設計の入り口になり得るか?
